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映画鑑賞記録
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観賞日 2010年6月12日(土)
場 所 銀座テアトルシネマ
監 督 ジェーン・カンピオン
制作年 2009年
制作国 イギリス オーストラリア

まさに動く少女漫画!な映画でした。ジョン・キーツは19世紀イギリスを代表するロマン派の詩人。わずか25歳でイタリアで客死した彼のかなしくも美しい愛の物語です。イギリスの田園風景がとても美しかったです。キーツの恋人ファニーが着る衣装はエンパイアスタイルの名残を残すハイウエストのシルエットでなかなかかわいい。当時のイギリス中産階級の生活スタイルも非常に興味深かったです。キーツ役ベン・ウィショーはものすごいハンサムではないけれど、ナイーブで繊細な雰囲気が出ていていかにもキーツらしい感じだし、ファニー役のアビー・コーニッシュのいかにも健康な女の子感も良かった。(こう胸板がばん!ってしているところがいかにも西洋人体型なんです!)ファニーの弟・妹役の子たちは本当にかわいくてうっとり。しかしながら、もうすっかり世間の荒波にもまれてしまった私には、19世紀のロマン派は青すぎるのであります。彼らの純粋な愛に涙しつつも、心のどこかで醒めてしまっている自分がいるんですよ。若いカップルがデートで見るなら本当にロマンチックで良い映画と思います。オバサンな私は過ぎ去った青春の恥ずかしくも甘酸っぱい記憶を引っ張りだすにはちょっと抵抗を感じた次第。

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鑑賞日 2010年4月18日(日)
場 所 銀座テアトルシネマ
監 督 ラデュ・ミヘイレアニュ  
撮 影 ローラン・ダイアン
製作国 2009年
製作年 フランス
原 題 Le concert
公式HP

フランス制作の映画だが、監督はルーマニア生まれでユダヤ系。映画の舞台の大半はモスクワ。

ベルリンの壁が崩壊してすでに20年が過ぎた。東西冷戦の記憶は、今の若い人たちにはピンと来ないだろうし、共産主義体制に期待を寄せた世界もその期待に失望したことも、別世界のことかもしれない。1960年代生まれの私にとって、東西冷戦は核戦争の脅威として記憶の中にある。戦争の記憶を祖父母や両親から聞く機会もあった。墓参りに行くと、忠魂碑と刻まれた石碑に花と水を捧げる事は当然のことだった。まだ、戦争の記憶が身近にあった。もしかすると、それは私の年代ではまれなことなのかもしれないけれど。

映画の中に描かれる主人公の不遇に類することが現実にたくさん起きていただろう。それは、別に外国の出来事に限らない。過去のことにも限らない。日本だって、太平洋戦争が終わるまで、特高、要するに日本版KGBみたいなものが存在していた。歴史の闇の部分に目を向けたがらない日本人は忘れてしまっているかもしれないが、国家権力というものが暴走したとき、人間の最もやわらかく美しいものは踏みにじられてしまうのだということを知っておかなければならないと思う。歴史を学ぶ意義は、そういった人間のどうしようもない部分を忘れない為にあるような気がする。

固いことを最初に書いてしまったが、映画は文句なしに楽しかった。30年前に政治的な問題で指揮棒を奪われた主人公アンドレイが、パリのシャトレ座から送られてきたFAXを見て、偽オーケストラになりすます事を思いつくところから始まる。公演を成功させる為に奮闘する主人公とその仲間たち。なぜ、パリなのか、なぜ、チャイコフスキーの協奏曲なのか、ラストに向けて、団員達の思いが一つになり、主人公アンドレイが指揮する協奏曲に乗せてその答えが明かされていく。

笑って泣いて、美しい音楽に酔った2時間はあっという間でした。ソロ・ヴァイオリニスト、アンヌ・マリー役のメラニー・ロランの美しさもいいですが、楽団員の面々やコンサート・マスター役を務めるロマの男性のなんと個性的であることか!

主人公アンドレイが開演を前に、元KGBであり、彼らの追い落としに加担した元マネージャーに言う言葉が心に沁みます。さて、なんというかはぜひ映画をご覧になって確認してください。音楽はまさに時間そのもの。その時間の中で人が集う意味はなんなのか。苦難の時代を乗り切り、夢を実現させるその力がどこから生まれてくるのか。

フランスの懐深さを感じさせる一作でありました。





鑑賞日 2010年4月10日(土)
場 所 銀座テアトルシネマ
監 督 カルロス・サウラ
撮 影 ヴィットリオ・ストラーロ
製作国 イタリア・スペイン合作映画
製作年 2009年 
原 題 IO,DON GIOVANNI
公式HP

最近は気になる映画は初日初回に見に行くようにしています。早く見たいというのもあるし、初日初回は特別なイベントがあったり、プレゼントがあったりするからちょっとお得な気分になれます。今回はイタリアのパスタメーカーからパスタをいただきました。

「ドン・ジョバンニ」がモーツアルトの有名なオペラだということは知っていたし、ドン・ジョバンニと彼に誘惑される村娘ツェルリーナのデュエットが高校の音楽の教科書に載っていた。筋書きをよく知らなかった私たちは、とんでもない口説きの場面とも知らず、可愛らしく「どうしたらいいかわからないわ~♪」と歌っていたんですよね。

当時はオペラについてよく知らないから、台本もモーツアルトが書いたのかと思っていたんです。ワーグナーのように台本を自分で書いた人もいたようですが、普通はオペラの台本作家という人がいたんですね。普通の歌だって作詞と作曲が別な方が多いですものね。ダ・ポンテは「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「コシ・ファン・トッテ」の台本を書いているとか。

この映画は、オペラ「ドン・ジョバンニ」の台本作家ロレンツオ・ダ・ポンテと、モーツアルトと稀代の色事師カサノヴァを中心とした創作秘話ともいえる物語です。予告編を見たときからとても楽しみにしていたのです。何しろ私は18世紀フリークですから、時代的にもドンピシャだし、モーツアルトの楽曲も好きですから~。

導入部はヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「四季」の「夏」の音楽をBGMにしてヴェネチアの運河をゴンドラがゆっくりと進んでいく場面からはじまります。どうやら古楽器による演奏のようで少しくぐもった音が湿ったヴェネチアの空気を感じさせます。余談ですが、ヴィバルディは25才で司祭になってピエタ慈善院付属音楽院 (Ospedale della Pietà) で音楽教師兼作曲家をやっていたのだけれど、このピエタ慈善院というのは、捨て子や孤児の女の子を世話していたところだったんですね。捨て子や孤児の中にはおそらく娼婦が産み捨てた子供も多かったでしょう。ヴェネチアと言えば、歓楽の都市というイメージも強いですよね・・・。ダ・ポンテも聖職にありながら放蕩生活と秘密結社への参加を理由にヴェネチアを追放されてしまうんです。ヴィバルディの曲で始まったところは、単にヴェネチアという土地つながりではないのでは?っと言うのは深読みしすぎかしら・・・・。

全編セットによる撮影ということですが、完全に計算されて構築された画面構成や照明効果は素晴らしいです。現実を忠実に再現するという意味ではリアルではないかもしれないけれど、人物の存在感や時代の雰囲気という点では非常にリアリティを感じました。

役者さんも非常によかったです。ダ・ポンテ役のロレンツオ・バルドゥッチは冷やかな美貌!イタリア男ってちょっと暑苦しそうな印象もあるけれど、ものすごくクールな印象で、緑がかった瞳の色と口角が上がった薄い唇が上品だけれど、どこかエゴイスティックな印象でダ・ポンテの人となりにぴったり。パンフレットにダ・ポンテの肖像画が載っていましたけど、若い時はさぞや色男だったろうなあ~と思わせるものでした。何しろ目が大きくて印象的。この目で見つめて落ちなかった女はいなかったんだろうなあ・・・と妙に納得。

モーツアルト役のリノ・グワンチャーレも、モーツアルトの子供のような人懐こさや繊細さを体現したような人で、良かったです。ラグビーでイタリア代表になったこともあるなんて信じられないくらい、多感な青年を感じさせます。笑った時のちょっと不揃い気味の歯まで、なんだかモーツアルトっぽい。

二人が、イタリア語とドイツ語を自在に操りながら会話するシーンがあるのですが、一つの場面の中で、それぞれ互いの言語を入れ替えながら話すところに二人が複数の文化を自由に行き来する能力があり、互いにそれを感じながら創作に励んでいく様子が透けて見えます。オーストリア皇帝ヨーゼフ2世もそういえばドイツ語とイタリア語を話してました。「アマデウス」のヨーゼフ2世はちょっと偏屈で冴えた感じじゃなかったですけどこの映画の彼は、音楽に対する造詣も深い人物として描かれているように思えました。

カサノヴァ役のトビアス・モレッテイの怪人物ぶりのよかったです。

ダ・ポンテの永遠の恋人アンネっタ役の女優さんエミリア・ヴェルジネッリは本当に瞳が印象的。水色の瞳に吸い込まれてしまいそう。監督がヒロインのイメージに近いといってえらんだだけのことはあります。

ダ・ポンテとカサノヴァは「ドン・ジョバンニ」の台本の中に自分たちの人生哲学を結晶させていき、モーツアルトは、美しい音楽でそれを効果的に人間の心に響くものとして表現していく過程がとても面白い。ドン・ジョバンニは己の人生を悔い改めるのか、それとも自らの信念に殉じるのか・・・?ダ・ポンテ自身の人生の選択は?

モーツアルトはドン・ジョバンニ完成の3年後、この世を去り、ダ・ポンテは87歳で某所で亡くなったという字幕を見て、はあ~と深いため息を思わず漏らしてしまいました。
モーツアルトって、もしかして、サリエリじゃなくて、ダ・ポンテに殺されたんじゃないかって思ったほどですよ・・・・。

だって、映画の中で、ダ・ポンテはオペラのドン・ジョバンニに今までの人生の放蕩を全部背負わせて地獄の劫火に焼かせちゃう。それでちゃっかり自分は恋人と新しい人生始めちゃうんですよ。
モーツアルトは、自分と父親との確執をはっきりと自覚してしまう。晩年の彼の苦悩はここから始まったような感じで何とも・・・・。


歌手役の方はみな本物のオペラ歌手だそうです。音楽と映像、両方とも楽しめる良い映画でした。
鑑賞日 2010年3月6日(土)
場 所 ル・シネマ
監 督 ローラン・ティラール
脚 本 ローラン・ティラール グレゴワール・ヴィニュロン
撮 影 ジル・アンリ
製作国 フランス
製作年 2007年 
原 題 Molière
公式HP

映画館で予告編を見て以来、公開を待っていた作品です。初日、初回を目指して出かけて行きました。なんと、上映に先立ち花組芝居の植本潤氏と江守徹氏の15分のトーク・イベントがありました。さらに、初日特典として、ロレアル・パリ・エルセーヴのヘアトリートメント240gがついてきたのですよ~。インターネットで席を予約しておいたので、当日料金より100円引だったし、ものすごーく得をした気分です。
トーク・イベントの内容はどうっていうことはなかったのですが、江守氏の声はよかったなあ・・・。

コルネイユ、ラシーヌ、モリエールといえば17世紀フランスの古典派劇作家。しかしながら、シェークスピアに比べ、私にとってはなじみがひどく薄い。それなのに、なぜこの映画を楽しみにしていたかというと、「王は踊る」というルイ14世と宮廷音楽家リュリを描いた映画の中に、モリエールが出てきていたのです。それで気になっていたのが一つ。そして一番大きな理由は、主演がロマン・デュリスだからということ。

俳優の名前を覚えるのが苦手なのですけど、彼の名前はばっちり覚えています。2004年の「ルパン」2005年の「真夜中のピアニスト」2008年の「PARIS」と彼の出演作を見て、お気に入りの俳優さんなのです。別にこれといってすごくきれいな顔立ちをしているわけじゃないんです。しかし、すごく魅力的な表情をするのです。特に目の表情がいいんですよ。こんな目で見つめられたら、男嫌いの私でも、ついくらくらとしてしまいそう・・・・。悩みながら演劇に情熱を燃やす若き日のモリエールを生き生きと演じているロマン・デュリスの演技はとても素敵でした。

そして、商才はあるのに、ちょっと気弱で俗物臭ぷんぷんのジュルダン氏を演じた、ファブリス・ルキーニもすごく良かったです。2008年の「PARIS」では、若い女子学生にいれあげて、ストーカーまがいのことをしでかしてしまう大学教授を演じていたのだけれど、その時も、すごくうまい俳優さんだなあと思ったんですが、今回の演技も、とっても良かったです。

ヒロインのエルミール役のラウラ・モランテも美しいかったですねえ。まさに成熟した女性の落ち着きと色香、モリエールに惹かれていくときの乙女のようなかわいらしさがかもし出されていて良かったです。50を過ぎてこの美しさと可愛らしさ!さすがです。

貧乏で借金まみれのくせに、尊大で口ばっかりでせこいドラント伯爵役のエドゥアール・ベールも存在感があってよかったです。

ジュルダン氏が熱を上げる社交界の花・セリメーヌ役のリュディヴィーヌ・サニエもきれいでしたねえ。

役者さんはみな芸達者、脚本もいいし、映像もきれい。フランス人のようにモリエールの作品を下敷きにしてこの映画を見ることができなくても、十分に面白い。途中何度も館内に笑い声が起こっていました。

ただ面白いだけではなく、ラストにはつい涙がポロリ。2時間があっという間の作品でした。

17世紀の衣装や風俗・習慣を見るというのでもとても興味深かったです。衣装はとてもきれいでした。

そして、今回ついつい目がいってしまったのは、女性の胸元。当時のコルセットは今のブラジャーのように膨らみを包み込むものではなく、下から持ち上げるようになっているのです。広くあいたデコルテからのぞく胸が息をする度に上下したりして、非常~に、扇情的でもあるんです。

屋敷に奉公している使用人達の衣装とか、馬車のつくりとかもなかなか興味深かったですね。

前回みた「カラバッジオ」が正統派伝記映画とすれば、こちらは史実をうまくアレンジして、さも本当にこんなことがあったんじゃないかと思わせる非常によくできた娯楽作品。フランスで大ヒットしたのが納得できる楽しい作品でした。関東圏では渋谷のル・シネマのみの上映というのが残念。機会があったらぜひ渋谷まで見に行ってください~。
鑑賞日 2010年2月13日(土)
場 所 銀座テアトルシネマ
監 督 アンジェロ・ロンゴーニ 
撮 影 ヴィットリオ・ストラーロ
製作国 イタリア・フランス・スペイン・ドイツ合作映画
製作年 2007年 
原 題 Caravajjio
公式HP

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571年9月29日 - 1610年7月18日)は、イタリア・ミラノ生まれの画家。カラヴァッジオ(Caravaggio)という通称は、出身地の名前。レオナルド・ダ・ヴィンチの「ダ・ヴィンチ」と一緒です。

今年はちょうど彼の没後400周年に当たる。ちょうど上野の東京都美術館でボルゲーゼ美術館展が開催中だが、そちらに彼の死の直前に描かれた「洗礼者聖ヨハネ」が出展されている。

一昨年の1月に娘と一緒にイタリア旅行をした時、「バロックの街角・ローマ」という半日のオプショナルツアーコースを回ったのだが、その中にサン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会が組み込まれていてカラヴァッジオの代表作「マタイの召命」「聖マタイの霊感」「聖マタイの殉教」を見た。この三連作はカラヴァッジオの出世作であり、バロック美術の扉を開いた記念碑的作品ともされている。カラヴァッジオの名前は知ってはいたが、これほどまでもインパクトのある作品と思っていなかったので、
絵を前にした時、本当にびっくりしたのを覚えている。それから、彼の作品集を見たり、伝記などを読んだりしたのだが、いやあ~、本当にハチャメチャな人としか言いようがない。とにかく、血の気が多くて喧嘩っ早くて、その絵の素晴らしさに反比例する放埓ぶり。

この作品は彼の生涯を本当に忠実に描きだそうとしたものといえる。その分、容赦なく残酷で、少々グロテスクですらある表現も多々ある。
はっきり言って、このカラヴァッジオという男、絵をかかせれば素晴らしいのだけれど、その他はどうしょうもない。はっきり言って絶対かかわりあいになりたくないようなタイプ。だけれども、その絵の才能が素晴らしすぎて、周囲の人間は振り回されつつも彼を助けてしまうんですね。
まさに破滅型の天才って言うんでしょう。

伝記映画の難しい所なんでしょうけれど、彼の生涯を忠実に描こうとするあまり、人間ドラマとしてのまとまりに少々欠けているように思いました。でも、見どころはたくさんありましたよ。17世紀初めにすでにテニスがあったんだなあとか、宗教改革の波に対抗しようとカトリック教会がいろいろ画策していたんだなあとか、当時の画家は実際に絵を描くときにはモデルを目の前に置いたわけではなかったんだとか・・・・。

カラヴァッジオ役の俳優さん、カラヴァッジオの複雑な精神性をうまく見せていて、うまいなあと感じました。カラヴァッジオの生涯を知って彼の絵を見ると、また違った感慨があると思います。そういった意味では、お勧めの映画といえますね。






 
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