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映画鑑賞記録
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鑑賞日 2013年1月19日(土)
場 所 TOHOシネマシャンテ
監 督 ロドリゴ・ガルシア
製作年 2011年 アイルランド

「男装の女性」の物語。そう聞いたら、多分40代以上の女性なら、一世を風靡した少女漫画のヒロインを思いだすかもしれない。実際、この映画の公式HPには新聞社主催の原画展のバナーが貼ってあった。

少女漫画のヒロインは、裕福な家に生まれ、確かに親の都合で男装の女性として育ったが、彼女自身が女性である事を隠しているわけではないし、確固たる地位を築いてもいる。

この映画の主人公、「アルバート・ノッブス」が男装するに至った経緯は、あまりにも悲惨である。正に「生きる為」に本来の性を隠し、自らが何者であるか、誰に語るわけでもなく、いつの日か小さな店を持ち、安定した暮らしを夢見て、客からもらうチップをひたすら床下に隠し貯めている。

何かとてつもなく大きな事件が起きるわけでもなく、淡々とアルバート氏のホテルマンとしての生活が描かれていく。単調にも思われる場面が、実はあとで見事なまでに展開し繋がっていくので、導入部からしっかり見ておかないともったいない。

アルバートを演じたグレン・クローズが、30年ものあいだ映画化を夢見て温め続けたというだけに、見事な脚本だし、出演者もみな役にぴったりと嵌り込んだ存在感で素晴らしかった。

下手にあらすじなどを書いても、この映画の良さは伝わらないだろうと思う。決してハッピーエンドでは無いラストなのに、人間の生命が持つ力強さと繊細な輝きを感じさせてくれる。人生を折り返しても、夢を見ていいのかな?って思う映画です。



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