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映画鑑賞記録
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鑑賞日 2007年12月19日(水)
上映館 シネマライズ 渋谷
制作年 2005年 ファントム・フィルム
監督  ディナ・ゴールドファイン、ダニエル・ゲラー

バレエが大好きだ。田舎育ちゆえに、生の舞台を見ることが出来たのはもう30半ばになってから。だが、NHKの芸術劇場のような番組で見たのは、おそらく10歳ぐらいのときだったと思う。爪先立ちでくるくると回り、軽やかにジャンプするバレリーナの姿は、強烈な印象を子供心に残した。私の通っていた小学校は木造校舎だった。木の廊下で窓枠に摑まり、足を上げてみたり、爪先立ちをしてみたりして遊んだ。気分はバーレッスンだった。田舎だから、バレエが習えるようなところは無かったし、もしあったとしても、バレエは金持ちのお習い事という意識があったから、おそらく習うことなど出来なかっただろう。その後も山岸涼子の「アラベスク」や有吉京子の「SWAN」などバレエ漫画に熱中した。鍛えられ、選ばれた人間達の美しさに、あこがれずにいられなかった。

映画館で、この映画の予告編を見たとき、強烈に見たい!と思った。往年のダンサー達の踊りをもっともっと見てみたかった。そのときは、ただそれだけだったのだ。

非常に魅力的な映画だった。この映画はバレエ・リュスという伝説的バレエ団に関わる人々の半世紀以上にわたる栄枯盛衰のドキュメンタリーであるのだが、同時に老人の映画である。それも、飛び切り魅力的な老人たちの!20世紀前半、バレエは確かに芸術の牽引車だったのだ。舞台美術・絵画・音楽・ファッションが、舞台上で融合し渾然一体となって、人々の心を魅了した。フィルムの中で踊る彼らは若く、美しく、鍛えられた肉体のみが表現可能なその動きは、涙が出るほど魅力的だった。そして、フィルムの中で華麗に、軽やかに踊るダンサー達が、今老人となって過去を語っていく。年齢を重ね、確かに彼らの肉体は衰え、同じ人間とは思えないほど変ってしまっている。動きもぎこちない。だが、その中にも、彼らが日々重ねた鍛錬はその火を灯し続けている。美しくポーズした指先に、目の表情に、それはしっかりと見て取れる。華やかな舞台とは裏腹な、過酷な興行生活、人間同士のぶつかり合いなどが彼らの口から赤裸々に語られていく。80歳を超えた彼らの表情は生き生きと生気に満ち、「踊ること=生きること」だった人生を心から誇りにしていることが、ひしひしと感じられた。肉体は確かに年齢と共に衰えていく。だが心はどうだろう?彼らのように年を取れるなら、年を取るのも悪くない。年齢を重ねた体にも、表情にも、人間の美しさがあるのだと感じさせてくれた映画だった。





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