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映画鑑賞記録
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鑑賞日 2010年6月19日(土)
場 所 岩波ホール
監 督 ローラン・カンテ
製作年 2008年 フランス 第61回カンヌ映画祭パルムドール受賞


この映画には一切BGMが入っていない。入念に練られた「作品」でありながら、ドキュメンタリーと錯覚させられそうになるほど、リアルに仕上がっている。

パリにある公立中学校の一クラスでの出来事を追っていく。明確な物語を描くというより、フランスの教育現場が抱える様々な問題や子供達が置かれている現実を淡々と描いているように感じた。

そもそも公教育という概念が普及したのは18世紀後半からだ。19世紀に近代的な国家という概念が生まれ、同時に国民を均質化し国民としての自覚と結束を促すため「教育する」公教育も普及していく。その前までは、主に宗教団体が良き信徒を作るために行うものであり、私的なものでしかなかった。

日本も明治維新後義務教育が制度化され、国家による公教育が普及していく。そもそも「教育」の主体者とは誰なのだろう?18世紀後半、日本は世界でも最も識字教育が普及した国だったという。寺子屋が普及し、親たちは子供との相性を見極めながら、寺子屋の師匠に子供を預けたという。

現役高校教師の友人と一緒に見て、観賞後、今普通の高校で起きているさまざまな出来事を聞いた。学校現場で起きている事は、それは子供だけの問題ではなく、親たちの問題や社会の問題がそのまま子供達に投影されているとしか思えない。

教育は学校でなされるものと思いこんでいすぎはいないか?子供達は家庭の中でも、社会の中でも教育されていく。

この映画は、何も結論を語らない。そこにある現実を、より整理された形で見せてくれるだけだ。その現実から何を読み取るのかは見る者にゆだねられている。

ラストの突き放し感はやっぱりフランス映画。
完全にBGMがない映画は不思議な感覚だった。
音楽が持つ感情作用というものを改めて感じたりもした。
観賞者は教育関係者とかが多いのだろうか?
やたらと上映を待つ時間に本を広げている人が多くてびっくりした。






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