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映画鑑賞記録
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鑑賞日 2010年8月17日(火)
場 所 MOVIX さいたま
監 督 リー・アンクリッチ
製作年 2010年
製作国 アメリカ
原 題 Toy Story 3

ジブリとピクサーはとかく比較されるが、今年は「アリエッティ」と「トイストーリー3」が同時期公開となっている。2作をさほど間を開けず見たのだが、それぞれに特徴があってなかなか面白いと思う。

ジブリ作品は海外でも公開されるのだろうけれど、主なマーケットはやはり日本なのだと思う。日本に生まれ、日本語を母語とし、日本の湿った空気の中で育った人間の感覚に依拠した表現が中心となっている。

セルアニメ2D作品とCGアニメの3Dという違いもあるけれど、両方の作品を見てまず感じたことは、キャラクター達の表情の作り方や感情の表し方が全く違うということだ。日本語以外の言葉を話し、全く異なる文化、気候風土に育った人間の感覚は、違って当然なのだと思う。しかし、これほど鮮やかに違うとは。

「借り暮らしのアリエッティ」は日本が舞台になっているし、小人の名前こそ西欧風だけれど、アリエッティもその両親もどう見ても日本人の行動様式なのだ。感情表現もアクションも淡々と地味なのである。ジブリ作品の中でも、特にそういった傾向の強い作品のように感じた。それは、もしかするとわざとそうしたのかもしれないと思われるほどだ。だから、感情を読みとる感度が低い人がみると、登場人物たちが今どんな感情を持っているのか、とても読みとりにくいものかもしれない。登場人物の表情の淡泊さに比べ、背景を含む自然描写や舞台となる家の佇まいのなんと繊細で緻密で雄弁な事だろう。もしかして、制作側の力点は、人物より圧倒的な自然や背景の方にあったんじゃないかとかんぐってしまうほどに。

では「トイストーリー3」は?と言えば、舞台はアメリカ、当然登場人物はアメリカ人だ。感情表現は明快、起伏にも富んでいる。ハラハラドキドキの場面展開は最初から最後まで飽きさせない。誰にでも分かりやすい感情の表現がそこにはある。分かりやすさというのが、世界中をマーケットにするにはやはり重要なのだと思わずにいられない。それにしても、バービーちゃんとケンのやりとりは笑えた。子供のおもちゃとは思えない大人のバカップルぶりなのである。特に、ケンの表情がいい。アホなあんちゃんっぽくて。そして、バズのモード設定が変えられた時の動き。私たちはフラメンコの動き=スペイン人と刷り込まれているのだな改めて認識させられる。日本人らしい動き、アメリカ人らしい表情。やはり根底にある者によって表現は違うのだなあと感じいる。

アンディ少年が青年へと成長し、おもちゃ達と過ごした時間を大切な思い出として心にしまい、訣別していく心情は万国共通のものだろうし、とてもきめ細かく表情も作られていて感動した。子供のしぐさや行動も、保育園の様子も、良く観察されて唸らされる。娯楽作品としては、どうもこちらの方に軍配が上がるように思う。

日本はガラパゴス化していると言うけれど、この世が全てアメリカナイズされてもつまらないと思う。単純明快もいいけれど、割り切れない曖昧で混沌としたものもやはり魅力的であるので。






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