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映画鑑賞記録
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観賞日 2011年5月7日(土)
場 所 ヒューマントラストシネマ有楽町
監 督 マイケル・マドセン
制作年 2009年 デンマーク、フィンランド、スウェーデン、イタリア/英語
公式HP 
浜岡原発を停止させる事を菅首相が中部電力に申し入れたという会見がありました。私は原子力の平和利用は医学の分野にのみ限るべきだと考えています。医学の分野において、正しく利用されるのであれば、その力は人類にとって非常に有益だからです。しかし、それ以外に利用しない方がいいと考えています。なぜならば、核分裂による膨大なエネルギーは人間の手に余るものだからです。

言うまでも無く、日本は唯一実戦で核爆弾を投下され、被曝した国です。今までに「被曝」を受けた土地や人々は日本の他にもたくさん存在します。アメリカ・ソビエト連邦(ロシア)・中国・インド・イギリス・パキスタン・北朝鮮は、核兵器開発の為に、核実験を何度も行っています。そして、兵器としてではなく、「平和利用」をしていたチェルノブイリ、スリーマイル島、福島第一などの原子力発電所のトラブルで放射能が拡散し「被爆者」が生まれているのです。

現代社会を支えるエネルギーをどうするのか?この50年間に人間が消費するエネルギーは爆発的に増大し、化石燃料の枯渇や温室効果ガスの問題が目前に突き付けられた時、原子力発電は、夢のエネルギーのように思われたでしょう。

原子力発電の本質とはなにか?僅かな量のウランから取り出される膨大な熱量で蒸気を発生させ、発電機のタービンを回し電気をつくるという事です。原子力発電所で利用されているのは、熱量であって放射線そのものではありません。そこが医療の現場での利用と全く異なる点です。医療においては、放射線そのものの性質を利用しているのですから、いわば代替がないものです。しかし、発電とは要するに何らかしらのエネルギーを用いてタービンを回し電気を起こすという事です。電気をつくる事は、人の力であっても可能です。自転車の電灯や手回しのラジオや懐中電灯が良い例です。もちろん人力で電車や工作機械を動かすほどの電力が賄えるはずがありません。しかし、「発電機を回す」それだけの事に、はたして原子力を利用する必要があるのか?そう思わずにいられません。

原子力発電は、確かに化石燃料のように、過去に蓄積されたエネルギーを使う訳ではありません。核燃料がただ熱量だけを人間に与えてくれるなら、夢のような素晴らしい燃料でしょう。しかし、放射能というやっかいなものが必ず発生するのです。匂いも色も味もしない放射能が何故問題なのか?それは生命の根幹である遺伝子を傷つけてしまい、生命の再生を阻害するからです。遺伝子は全ての生物が共通に持つものです。人間だけが滅びるなら、自業自得ですが、原子力エネルギー利用と全く利害関係のない生命まで道連れになるのです。

放射能を発生させる物質をそうでない物質に変える事は、現在の技術ではほぼ不可能だそうです。TVニュースで、放射能の除去を行うなんて言っていますけれど、それは放射能に汚染された物を別の場所に移動させているだけです。手や体の表面に付着したのであれば、洗い流すことで放射能物質を皮膚の表面から除去することはできます。しかし、洗い流した水には放射能物質が溶けているのです。放射能物質が消えてなくなるわけではありません。発電に必要な熱量を取り出し終わった核燃料は、放射性廃棄物となります。

放射性廃棄物は、延々と放射線を放射し続けます。いったい使用済みの核燃料をどうするのか?原子力発電所は稼働させる限り延々と使用済みの核燃料を排出し続けます。もしも、現時点で全ての原子力発電所を停止させたとしても、今までに出された放射性廃棄物は残ります。放射性廃棄物が放射能を出さなくなるまで長い時間がかかります。

この映画は、フィンランドにつくられている世界初の高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場を取材したドキュメンタリーです。固い岩を削って作られる巨大システムは、10万年間保持されるように設計されているといいます。廃棄物が一定量に達すると施設は封鎖され、二度と開けられることはないように封印される予定です。100年先さえ見通せない私達がいったい10万年後を見通すことができるでしょうか。数千年の間にすら、地上の環境と人間の暮らしは大きくかわりました。10万年後、そこに暮らす人々に、危険性を確実に警告できる方法はあるでしょうか。5000前のピラミッドついてすら現代人は理解しきれないのに、10万年後の人類に残した情報は正しく伝わるのでしょうか?
核燃料を利用することを考えても、最終的な処分までは考えていなかったつけが今やってきています。日本にある原子炉が今まで吐き出してきた放射性廃棄物は本当に安全に処分されているのか?地震と火山の国である日本にフィンランドのような安定岩盤などあるのでしょうか?

原子力利用については、これから最終処分を含めて真剣に考えていかなければいけない時に来ています。感情論では解決できない問題です。エネルギー無しに現代生活は成り立ちません。問題はなになのか。解決の道筋について、自分の問題としてしっかり考えていかなければならないでしょう。
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