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映画鑑賞記録
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鑑賞日 2013年2月23日(土)
場 所 ヒューマントラスト有楽町
監 督 マルクス・O・ローゼンミュラー
製作年 2011年 ドイツ

戦争はむごい。人間の最も愚かな部分が剥き出しにされたものが『戦争』なのではないだろうか。
第二次世界大戦が終わって今年で68年になる。日本は幸いな事に、68年間、戦場にならずに済んできた。今生きている人間の多くは、私を含め、戦争をしていた日本を経験していない。戦争を経験した人の話しを直接聞いた事がない若者も多いだろう。彼らにとって、戦争は遠い過去であり、別世界の出来事かもしれない。

でも、今、新たな戦争の種が播かれようとしてはいないだろうか?戦争を知らない人間は、戦争を知らないから、戦争を支持してしまうかもしれない。外に敵をつくる事によって、内政を固めようとするのは為政者の常套手段だ。

何かを始める事より、継続する事、終結させる事の方がより困難だ。戦争も同じ。始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい。多くの犠牲を払い、血を流し、そして、疲れ切って戦いは終わる。

犠牲になるのは、いつでも力の力弱く美しいものたちだ。人間は本当に愚かだ。すぐに過去に払った多くの犠牲を忘れてしまう。だから、何度でも、愚かな行為を繰り返してしまう。

過ちを繰り返さない、その為にしなければならない事はなんだろう。それは、忘れない事しかない。
過ちを認め、心に刻み、忘れない事だ。人は過去を忘れたいのだ。辛い過去など忘れたい。忘れなければ、前に進めないのも真実だ。

しかし、辛くても、忘れてはいけない事がある。目をそむけてはいけない事がある。過去を忘れた時、新たな厄災は忍び寄ってくる。過去など振り返る意味はないと言う人がいる。人間は進歩しているのだと。

確かにそうかもしれない。過去に囚われては前に進めないのも真実だ。しかし、進むべき道は正しいものなのか?目指す世界は、柔らかで美しいものたちの幸せを損なうものではないのか?
急がなくてもいいはずだ。振り返りながら、進めばいい。

人間は愚かである。だからこそ、過去を知るべきだ。過去を知る事を怠った時、新たな厄災の種がそっと播かれるだろう。

この映画は声高に主張したりしない。ただ、静かに美しいものが戦争のなかで踏みにじられる姿を描いている。

戦後を生きて来た私達が、戦前を知るものになってはいけない。





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鑑賞日 2013年1月19日(土)
場 所 TOHOシネマシャンテ
監 督 ロドリゴ・ガルシア
製作年 2011年 アイルランド

「男装の女性」の物語。そう聞いたら、多分40代以上の女性なら、一世を風靡した少女漫画のヒロインを思いだすかもしれない。実際、この映画の公式HPには新聞社主催の原画展のバナーが貼ってあった。

少女漫画のヒロインは、裕福な家に生まれ、確かに親の都合で男装の女性として育ったが、彼女自身が女性である事を隠しているわけではないし、確固たる地位を築いてもいる。

この映画の主人公、「アルバート・ノッブス」が男装するに至った経緯は、あまりにも悲惨である。正に「生きる為」に本来の性を隠し、自らが何者であるか、誰に語るわけでもなく、いつの日か小さな店を持ち、安定した暮らしを夢見て、客からもらうチップをひたすら床下に隠し貯めている。

何かとてつもなく大きな事件が起きるわけでもなく、淡々とアルバート氏のホテルマンとしての生活が描かれていく。単調にも思われる場面が、実はあとで見事なまでに展開し繋がっていくので、導入部からしっかり見ておかないともったいない。

アルバートを演じたグレン・クローズが、30年ものあいだ映画化を夢見て温め続けたというだけに、見事な脚本だし、出演者もみな役にぴったりと嵌り込んだ存在感で素晴らしかった。

下手にあらすじなどを書いても、この映画の良さは伝わらないだろうと思う。決してハッピーエンドでは無いラストなのに、人間の生命が持つ力強さと繊細な輝きを感じさせてくれる。人生を折り返しても、夢を見ていいのかな?って思う映画です。



鑑賞日 2012年11月17日(土)
場 所 TOHOシネマズ府中
監 督 犬童一心 樋口真嗣
製作年 2011年 

主役の野村萬斎さんが好きだ。飄々としていながら、奥底にただものじゃない何かを持っている感じが漂っているところがいい。

舞台になった行田市は、埼玉県民なら遠足やら社会科見学やらで、結構馴染みのある場所だ。「ダサイタマ」と県外人は良くも知らずに揶揄するが、関東平野は利根川、荒川の豊かな恵みを受けた土地で、古代から豊かな文化が花開いた場所なのだ。埼玉はこれといった特徴もないように言われるけれど、土地が豊かで自然災害も少ないし、東京にも近い。労せずとも穏やかに暮らせてしまう。だったら、何も激しく自己主張する必要もないでしょう?って感じかもしれない。
埼玉は知る人ぞ知る歴史上の人物がけっこういるんですよ。特に武士が台頭した鎌倉から戦国時代には。そんな人物の1人「のぼう様」が映画になったと言うんですから、そりゃみませんとね。

なかなか面白い映画でした。実際の場所を知っている人間としては、ちょっと違和感のある描写もありました。行田のあたりはひたすら平らです。何と言っても日本一の関東平野のど真ん中なんですから。今だって、荒川や利根川の堤防から平野を見渡すと広いなあ~って思います。そのスケール感を出そうって頑張って作っていると思いました。でもねえ・・・、どこか映画と言うより、TVドラマの感じなんです。お正月用の3時間スペシャル?という感じといったらいいでしょうか。映画らしい重みに欠けてる感じがするのはなぜなんでしょう?

重みなんて、誰も求めていないのかもしれませんけど、俳優さん達がすごく頑張っていい味出している分、10年後・20年後見ても陳腐じゃない作りにしておいてほしかったように思いました。


















鑑賞日 2012年10月7日(日)
場 所 ル・シネマ
監 督 マレーネ・イヨネスコ
製作年 2011年 フランス

バレエが好きだ。鍛え上げられた肉体がしなやかに舞い踊る様は、ひたすら美しくて、うっとりしてしまう。バレエの振付師とバレリーナの妻、二人の絆を中心に、彼らが生きてきたバレエの世界を貴重なフィルムをふんだんに交えて紹介している。
人間の体ってなんて美しいんだろう・・・・。指の先から足の先まで完全にコントロールされた肉体。自分と同じ種族とは到底思えないなあ・・・・。バレエをみていると、本当にヨーロッパの感情表現と日本の感情表現は全く違うと思う。どちらが優れているとかそういうのではなくひたすら、違うんだと思う。それぞれに美しい。




鑑賞日 2012年9月2日(日)
場 所 TOHOシネマズ府中
監 督 オリヴィエ・ナカシュ/エリック・トレダノ
製作年 2011年

14時の回のチケットを12時前に買いに行ったらすでにほぼ満席状態だった。TVコマーシャルも入っていたせいだろうか?

フランス映画が好きだ。なにより会話が洒落ている。人生は本音もあれば建前もある。どちらか一方で生きられるわけじゃない。大上段に建前を振りかざされたって困る。時には本音をぶちまけたっていいじゃないか。「潜水服は蝶の夢を見る」を見た時も思ったが、どんなに肉体的に困難な状況であっても、人とかかわり美しいものを美しいと感じたいのだ。フランス人は、人生を楽しむ事を良く知っているのだろうなあと思う。
文句なく楽しめるし、見終わった後に、人生を楽しんで生きようって思える。


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